コミュニケーション能力とは
コミュニケーション能力というと、社交的で自己アピールが積極的にできる能力のことだと思いがちだが、実際にそういう人がいたら、おつきあいしたいと思う人はそれほど多くないのではないだろうか。わたしだったら間違いなくひいてしまう。
うまくコミュニケーションがとれないと思っている人やどうすれば人とうまく関われるのか困っているような人が抱えているかたくなで緊張した気持ちを緩め、何か話してみようと思わせる能力こそ本物のコミュニケーション能力ではないだろうか。
話してみようと思わせる能力こそコミュニケーション能力だ。
わたしがmimiのことで悩んでいた時、誰かに助けてほしいと思う反面、誰にも何も言いたくない気持ちが強かった。何か話すと、おそらくその何倍もの質問に答えなければならないことが予想できて、それがおっくうで仕方なかったのである。悩みのある人には、言いたくないこと、聞かれたくないことがあるものだ。はじめから包み隠さず話せるなら、何も苦労しないのである。
コミュニケーション能力のある人は質問しない。
よくわからないところがあっても、聞いておきたいことがあっても聞き流して余計な詮索をしない人はすごい。言いたくないことがあるということを心得ている人はなかなかいないものだ。わたしも自分には聞かれたくないことがいっぱいあったにも関わらず、mimiには容赦なく問い詰めることをやめなかった。
わたしは余計なことを聞かれなかっただけで、不思議なぐらい穏やかになれた。そのあとで「つらかったでしょう。よくがんばりましたね。」と言われたときにはぐっときて涙が出てしまった。
そのとき、わたしは、ただただ一方的に話を聞いてもらうことがこんなにも救われることなんだということをはじめて知ったのでした。
人には言いたいことと言いたくないことがごちゃまぜにあって、そうした外と内のバランスがものすごく複雑に絡み合っている。それが不安定になってコントロールしきれなくなってしまったとき、つらくなってしまうのではないだろうか。そんなとき、心配しないで思うままに話のできる人がいれば、それが救いの第一歩になるような気がする。
コミュニケーション能力は受け身の技だ。