セルフモニタリング
台風が接近中。どしゃぶりの雨で肌寒い。mimiはきょうもスクーリングに行った。はじめての会場である。緊張のせいか、二日前ぐらいから腹痛を訴えていたが、出席する意志は固いようだ。
mimiは非言語性発達障害の特質の中でも、とくに情報処理に困難が見られる。と言っても、まったくできないようには見えない。どうして動けなくなるのか周囲には理解できない。下手をすると、故意に努力を怠っているようにとられかねない。
何もわかっていなかったわたしは、「どうして?」と何度もmimiを問い詰めた。mimiを理解しようと懸命だったのだが、今思うと本当にかわいそうなことをした。本人が一番、わけがわからずに苦しんでいたのだから。
mimiは時間をかければ何でもできるようだ。だが、mimiのように時間をかけていたのでは、社会生活は難しい。mimiは少しでも周囲に追いつきたくて無意識に無理をしてしまう。「やればできるのに、努力が足りないのではないか」という思いがいつもついてまわっているようだ。思うようにやりたいことがこなせない。これは想像以上に苦しいことなのだ。
mimiはセルフモニタリング(自分自身の行動とその影響を意識して憶えていること)が苦手である。だから、経験が積み重なって学習していくことがなかなかできない。それでいつでもあらゆることが初体験のような緊張感をともなうことになる。そこで、mimiが行動する時は、以前うまくいったことを繰り返し、今度もうまくいくだろうという予測を確認するようにこまめに声をかけるようにしている。また、何か思いがけないことが起こった時の対処の仕方も合わせて確認するようにしている。思春期の男子には、多少おせっかいだと思われているかもしれないが、mimiの不安解消に少しは貢献していると思っている。
mimiは誰にも見せない日記をつけている。とりあえず一日のできごとを書きとめておくようにしているらしい。少しずつでもかたちだけでも振り返ることができるようになれば、これから先、何かと役に立つだろうと期待している。