いいところに目を向ける
「mimiのできること、いいところを教えて下さい。」
と言われているのに、気がつくと苦手なところや困っていることを懸命に説明していた。相手に指摘されるまでまったく気がつかなかった。
生徒の作文を読んで、いいところを見つけてほめるのがわたしの仕事である。いい仕事だと思っているのに、これもふと気がつくとダメだしばかりしていてはっとすることがある。
残念なことに、わたしは、いいところを見つけるより、気になるところを見つけるほうが簡単にできるみたいなのだ。実に残念です。意識して気をつけていないと、いいところをどんどん見過ごしてしまっているのかと思うと、まったく損な性質である。
わたしの父は、かなりかたくなな人で間違っても人格者とは言えない。しかし、非常に楽天的かつ前向きな人で、ものごとのいいところしか見ないというあきれるほど単純なところのある人だった。若いころ、わたしはそんな父を非難こそすれ、その偉大さに気づけなかった。わたしは父と顔がそっくりと言われ、ずいぶん嫌な思いをしてきたが、今は父のそうした強さを受け継ぎたいものだと思っている。
何となく批判がましいことを言った方が知的でかっこいい的な風潮に乗っからないように気をつけたい。欠点ばかりが目につくときこそ、いいところに目を向けられる人でありたい。